第201回IEC研究会 議事録

日時:2006年12月3日(日)13:30〜17:00
場所:関学大阪梅田キャンパス 大阪市北区茶屋町19-19
 アプローズタワー14階 1404室
司会:横山 書記:下倉

参加者:阿濱,石井,石川,江見,下倉,高橋,中條,中西,
    横山,畑,大島,中村,荒木,西野,河野,長,秋山
見学:小野,奥田
届出欠席:新田,角南,正木,西本,矢島,野部,飯田

1.諸会連絡
<既開催>
・ゲーム学会全国大会(11/25 at 大阪電気通信大学四条畷キャンパス)
・情報教育研究集会(11/24〜25 at 広島大学)
・第8回合同研究会(12/2 at 園田学園女子大学)
<開催予定>
・12/9 13時から シンポジウム「発達障害を考える」
 関西学院大学上ヶ原キャンパス
・12/9 13時から JADIE第3回フォーラム 専修大学
・'07/1/13 13:30から シンポジウム ITを地域に活かす
  ハービスHALL
・'07/2/10 14時 実教出版 京都コンピュータ学院駅前校
 教科情報セミナー
・'07/3/17 JSiSE第6回研究報告会 千里金蘭大学(ML[iec-ken 2836]参照)
 「大学における情報教育の新たな展開 −教科「情報」との接続性−」
 および一般
 申込締切 '07/1/15 原稿締切 '07/2/13

回覧
・情報コミュニケーション学会研究報告(2006/12/2)
・教科情報合同研究会資料
・CIEC コンピュータ&エデュケーション Vol.21
 ISBN4-501-84070-6 1800(+税)円
 −検証,教科「情報」


システム部会発表(中條先生)
「障害を持った学生の支援」
 障害者への対応が必要
 発達障害を持った学生への指導,評価が求められる
障害の種類
 身体的(四肢,視覚,聴覚),精神的,発達,学習
  障害にもそれぞれレベルがある
支援の形態
 ノートテーク(パソコン要約筆記用ソフトIPtalk,音声認識(理想))
  IPtalk(http://iptalk.hp.infoseek.co.jp/)
  共同して複数人でノートをとる
 教科書の点訳
 読み上げソフトの利用
学生作成のビデオ
 関学のStudents theaterに掲載
 http://students-theater.com/
 (外部からのアクセス可能だが,トップページはかなり重い)
 「メディアの光を見つめて〜情報福祉におけるメディアの可能性〜」
  視覚障害者がパソコンを利用する場合のさまざまな制約
  視覚障害者同士でのコミュニケーション
  画像(Flashなど)で作成されたWebページは閲覧不可能
 「THE 教育デザイン〜Design for allの社会へ〜」
  体に障害を持った時にどうなるのか
  ユニバーサルデザインについて
   学校現場でのユニバーサルデザイン
   関西学院大学の自立支援課
   障害者が社会に参画できる可能性
他大学の状況
 広島大学や同志社大学も同様にユニバーサルデザインを
支援の課題
 ICT技術の改良
 スタッフ(人)の育成
 組織や制度の整備
 「意識」の啓発および涵養
今後のICTのさらなる活用
 ノートテーク
 音声認識ソフト
 モバイル・ユビキタス
  HMD,ウェアラブルコンピュータ,携帯電話
 読み上げソフト
 ネットワーク技術による遠隔サポート

質疑応答
(中西)アメリカではどうか?
(中條)アメリカではADAという障害者支援法がある
 統合的なサポートができるようになっている
(中西)教育現場では,逆行しているようなものを押しつけられている
(高橋)補助金などはどうなっているのか?
(中條)そういったものがない。学校が出している
(高橋)組織力がなければ実現不可能である
(江見)そういった組織力がある大学には学力的に入るのが難しい

休憩・・・

「Eclipseを活用したビジュアルなオブジェクト指向プログラミング教育」
金沢工業大学 石井先生
 eclipse=日蝕,sunが隠れる・・・
Java=オブジェクト指向プログラミング
 オブジェクト=変数+関数
 抽象的なプログラミング(各自がプログラミングしたい内容を抽象化)
  Windowが表示されないコマンドラインプログラミング
  抽象的なものばかり使っていると退屈
  プログラミング系統の学科だから許されること
 文系学科などでは,Windowが出てこないとおもしろくない
オブジェクト指向=物指向 物でも,目に見える実物がない
 物が抽象的か?
 Windowsが出てこないとアプリケーション作成の実感がわかない
 →目に見える形で教育するべき
Windowの出るプログラミングは難しい
 Visual C++:80行程度の記述が必要
 Java:Frameクラスをインスタンス化するだけ(5行程度)
    インスタンス化:やや抽象的な概念
    main()メソッドを書ける必要がある
  簡単な抽象クラスがわかっていないとWindow表示ができない
Visual Basicは?
 高い!(ライセンス費用が1,000,000円)
 オブジェクト指向のクラス,インスタンス,継承のような抽象概念を後回しに
Eclipseで解決
 VBのように簡単な操作でGUIプログラミングが可能
 ソース,Window,プロパティの3ペインが存在
 プロパティ(属性)を操作するためのウィンドウもある
  属性を変化させることで内容が変化する=物(オブジェクト)
  Buttonなどの名称は変更できない=クラス
 Eclipse,JDKはフリーウェアなので自由に扱える(無料!)
  本一冊で全て含んでいるのが便利(教科書を購入させればOK)
 ・教科書:「目で見てわかるJavaのレッスン」西村美由紀・元端和弘著,ソシム発行,1800円,ISBN4-88337-528-5
 ・比較のJBuilder本:「JBuilder5で学ぶJava入門」丸の内とら著,翔泳社発行,2800円,ISBN4-7981-0087-0
 Eclipseはソースコードが目に見える(VBとの違い)
  ソースと変更するとWindow上の部品も変わる,プロパティも変わる
 自動生成されたソースコードを真似て作っていく
 イベント処理の記述
  コマンドラインであれば,インターフェイスをimplementする
   抽象クラスとインターフェイスクラスを継承してオーバーライドする
  Eclipseならばマウス操作だけで済む
   プロパティ操作などを真似てプログラミングでやらせる
 繰り返し処理(for文)
  繰り返しの中で何をしているかを試してみる
 判定(if文)
  窓からはみ出させる
 継承
  元のクラス(ボタン)から新しく作り出していく
 目に見えないクラス;MainPart(本体)がある
  見えなくても存在し,仕事をしている
 学生の評判は良かった
  Eclipseは無料で,改変および再配布可
   学生用にカスタマイズしたものを利用してもよい
   学校側での制約に合わせて改変できる
   本のおまけのインストーラでかなり楽に使える
    サンプルプログラムもある
  JBuilderは無料もあるが商品。改変および再配布不可
質疑応答
(高橋)サンプルプログラムのファイル構成はどうなっているのか?
(石井)スタートとエンドがあるので,遅れている学生にも対応可能
(高橋)学校と自宅で同じ環境で学習できるのか?
(石井)CD-ROMからのインストールであれば大丈夫
(石川)Delphiでかつて独学用教材を作ったことがあるが,今回のことも参考になる
(石井)現状で,Javaの開発環境としてEclipseがよく使われている
(高橋)学習環境ということであれば,Error時はどうなるのか?
(石井)赤く×がつき,間違えているところをクリックすれば修正候補が表示される

「教える側の security 意識」
大阪国際大学 石川先生
 利用者へのsecurity教育
  開発者へのsecurity教育は複雑
 利用者へのsecurity教育
  学生が持ち込むPCはよくウイルス感染
   Windows Updateをかけていにあ
   ウイルス対策ソフトが入っていない(更新していない)
   感染源に対する意識の欠如
  教える側は?
   ウイルス感染している,updateかけていない
   「パソコンのことがよくわからないから・・・」
   過剰な警戒心「パソコンって危険」(さわらない)
    個人情報保護法の関係上
 どこまで対策すべきか?
  情報資産,脅威,脆弱性(セキュリティアドミニストレータ)
   最低一つの対策をしていれば被害に遭わない
   リスク管理のtまえに複数の対策を
 Windows Update(Microsoft Update)
  サイトへのアクセスや自動更新
  Office Updateも(Microsoft Updateに統合)
   0 day attackもある
 設定
  Outlook Expressも危険性が高いが,設定を見直せばよい
  Internet Explorerの設定で,スクリプトやActiveXなどを無効に
   信頼済み,制限付きをわける
 設定を行わせることが教育になるのか?
  学習者が設定せずに使えるようになるソフト(他の学習時間へ割り当てられる)
  学習者が設定しないと安全に使えないソフト(設定の重要性を教えることが可能) 
 tainted(汚染された可能性があるもの)の概念
  <->untainted
    untaintedなものとしてinstallCDやplaintext,電子署名付(証明書付)ファイルなど
   どこまで区別して教えるべきか?
 情報を得る経路としては?
  一般利用者のできること=updateを行う
    設定についてはかなり難しい(設定項目自体がわからない)
  SSL2.0の脆弱性:暗号強度を40bitまで引き下げられる
   SSL2.0とSSL3.0の両方を有効→2.0になってしまう
   現状では3.0だけで実用上問題なし(勘違いしている場合が多い)
   情報教育の重要性
 電子証明書の勘違い
  エラー(ワーニング)を表示することがある
  それも正しいんだ,ということもありうる
   接続がどうなっているかわからないのがインターネット
 警告に対する認識不足
  警告が出ても進んでいい,と思っている人が増えている
  警告はちゃんと読んで,自分で判断すべき
 インターネットの危険性を知らない人もいる
  年配者(地位のある人)でも間違えていることがある
 SQLinjectionの対策
  単純な方法で回避できる
  PHPでも処理を最低限必要な部分だけしか処理していない
質疑応答
(横山)重要な話なので,今後ロングレンジで対応していくべき内容。
(高橋)メールの教育はどうなるのか?
(中村)学生はよくわからずにOutlook Expressを使ってしまう
(石川)安全なメールが広まればいいが,現状でははっきりしない
(西野)証明書の話も重要である
(高橋)提案:石川先生が来られる時にセキュリティ講座をしてもらう

フォーラム会計報告(高橋)
 光と影ver.2 印税28万円
  フォーラムでの利用額が21万円程度,7万円程度残り。
  光と影ver.3の本50冊を買う予定だったのが送ってこなかったので。
   35700円を
 実教の情報倫理
  収入(印税+ 67万円弱
  懇親会費などで48万円支出
 残317047円


次回第202回IEC定例会は
2007年1月14日(日)
2,3月も第2日曜日で確保。
グループ発表は高等研